2022年09月23日

若月まり子さんのリトル・エルフィン

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若月まり子さんのリトル・エルフィン。
エルフィンとは「小さい妖精」を意味します。
手のひらに乗るような、小さい子です。

若月まり子さんは、エルフィン・フローリーやリトル・エルフィンなど、妖精の人形をたくさん作られています。
透明な、はかない雰囲気が魅力的な子たちです。

実を言うと、私はいわゆる「創作人形」は少し苦手。
創作人形といってもいろいろですが、普通「創作人形」と言われてよく見かける子は雰囲気の妖しさとか情念というか、部屋にいたらどうかな…と思ってしまいます。
好みの問題なのでしょうね。

その中で若月まり子さんの作品は、一般に受け入れられやすい人形たちだと思います。
特にリトル・エルフィンは丸顔で幼くて、とても可愛い。
顔と手・足はビスク。身体は布製で、中には綿が詰められています。
髪はシルク。さわると溶けてしまいそうなやわらかさです。
羽根や衣装は季節や花のモチーフによって異なります。この子は秋の雰囲気です。

普及版の人形ですが、一点一点手作りと聞きます。
さわってみると、はかなげなのにとてもしっかりとしたつくり。
腕と脚が動かすことができて、自立もします。

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アップにしてみました。とてもきれいな目をしています。描き目です。
人形に全く興味のない家族も、一目見て「すごく可愛い顔をしている」と言っていました。

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「あかまんま」をアップにしてみました。

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ちょうどこの季節に咲く花です。
あかまんま(イヌタデ)が気になって探しながら歩いていると、近所の家の庭先に見つけました。
赤い色が美しく、画材に使われることもあるのだとか。
子どもがおままごとに使うので「まんま(ご飯)」と呼ばれるとは聞きますよね。
花言葉は「あなたの役に立ちたい」なのだそうです。

この子は譲っていただいた人形。
タグがついています。おそらく、最初の持ち主さんが購入されたお店のタグです。

リトル・エルフィンを買うなら、せっかくだからお店に直接注文して購入して…と、ずっと計画していました。
そうするうちにだんだん作られなくなったのか、購入が難しくなってしまいました。
タイミングは大切ですね。

タイミングと言えばもうひとつ、福島県金山町の「妖精美術館」。
ずいぶん前、ひょんなことで金山町に行く機会がありました。
結局行かずにそのままなのですが、写真などを見れば見るほど湖も森も美しく、どうして行かなかったのかな…と、ずっと思っています。
本当に、もう少しコロナが落ち着いたら行きたい場所のひとつです。


posted by sascha at 19:52| Comment(2) | 創作人形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年08月28日

ちびぞう

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今回紹介するのは、特別でもなく珍しくもなく、ごくごく普通のぬいぐるみです。
小さい時、家族にもらった小さなぞう。
おそらくは動物園のぬいぐるみだと思います。が、よく覚えていません。
手触りがよく、縫製もしっかりしていて、子どもの手にすっぽり入る大きさ。
垂れ目ですが、子ども向けの甘い雰囲気ではなく、どこか大人っぽい感じが気に入っていました。
出かける時に、時々連れて行っていました。

最初は「ぞう」「ぞうさん」と呼んでいましたが、ある時期から「ちびぞう」になりました。
古田足日さんの児童文学を読んだことがきっかけです。
古田さんのお話の中によく出てくるのは、ロボット。それから、あとは何故か「ちびぞう」です。
『ロボット・カミイ』を買ってもらって、何回も読みました。

段ボールの紙でできた、ロボットのカミイ。
自分を鋼鉄ロボットだと思っていて、真っ正直で、思ったことをすぐに行動に移してしまうカミイのおかげで、幼稚園は大波乱。
そのカミイがほしがったのが「ちびぞう」。ロボット幼稚園にはちびぞうがいないので、カミイはちびぞうを連れて帰って、ロボットの友だちや先生に見せたいと言います。
幼稚園の子どもたちが折り紙でちびぞうを折ってくれるのに、「紙でできたのなんてちびぞうじゃない!」という暴れっぷり。とんでもないですよ。。
でも、大好きでした。

絵は、堀内誠一さんです。頑張って本を探し出したので、うちのちびぞうと一緒に並べてみました。
こらこら、カミイ。その鼻の引っ張り方はいけません。
うちのちびぞうも、びびってます。

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昔はまっすぐ立っていたと思うのですが、いつの間にかバランスが崩れて、前のめりになってしまいました。
鼻で身体を支えているので、鼻も折れてきています。

こちら、後ろから見たところ。おしりも可愛い。

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特に象が好きというわけではないのですが、まど・みちおさんの故郷、山口県周南市に行ったことがあります。
周南市美術博物館には、まど・みちおさんの絵。ぞうさんの絵も見られます。
美術館のカフェには、砥部焼の青いぞうさんのカップ。
動物園には、もちろん象。一時は象がいなかったそうですが、「まど・みちおさんの故郷だから」ということで、象の招聘が行われたそうです。

古田足日さんがお話の中に、どうして「ちびぞう」を登場させたのかは不明ですが、やはり子どもにとって、特別な存在なのでしょうね。

ごくごく平凡なぬいぐるみで、今となってはどのメーカーがどのように作ったのかもわかりません。
夏休みの季節に合わせて、今回は「ぞうさん」にしてみました。


posted by sascha at 15:14| Comment(2) | ぬいぐるみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年07月31日

津屋崎人形

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福岡県の津屋崎人形の女の子です。
古道具屋さんに譲っていただきました。
手のひらに乗るほどの大きさです。

後ろから見たところ。

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裏には鉛筆で「津屋崎人形」と書かれています。

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アップにしました。

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女の子の表情は、どこか夢二風の儚さです。
抱いているのは、とても大きな日本人形。こちらはびっくりしたような顔です。
人形に全く興味のない家族が、この子はとても気に入っていました。
昔の女の子の髪型で、懐かしい感じがするそうです。

津屋崎人形の紹介は、こちらこちらで見ることができます。
「ごん太」が有名ですね。
「ごん太」を見ていると、尾崎人形を思い出します。

九州の郷土玩具は、色が明るくてとてものびのびしています。
歴史のある津屋崎人形ですが、この型はどうやらもう作られていないようです。
今だったら女の子の顔は夢二風ではなくて、もっとはっきりした表情になるかもしれません。
でも時代が変わっても、人形はきっと愛されていくのでしょうね。

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2022年06月26日

瀬戸ノベルティの人形たち

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瀬戸ノベルティと思われる古い人形(置き物)三体です。
母方の祖母の家から来たのが二体、自分で購入したのが一体です。
どれも古いもので、本当は瀬戸ノベルティかどうかもわかりません。
でも、時代や雰囲気から、瀬戸ノベルティだと勝手に思っています。

まず、馬車の人形。祖母の家から来たものです。

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四匹の馬、御者、馬車から降りる女の人、そして馬車の脇に立つ男性。
馬車の中はちゃんと空洞になっていて、裏の空気穴につながっています。繊細なつくりですよね。
「シンデレラみたい」と思って、子どもの時はドキドキしました。
女の人は透明なガラスの靴ではなくて、赤い靴を履いています。

表情も可愛いです。

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こちらは御者と馬たち。

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馬はお腹がぷっくり。

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祖母に「外国製?」と聞いたら「日本製」と言っていた気がします。やはり瀬戸ノベルティでしょうか。

そして、こちらの二体の女性たち。
一体はやはり祖母の家から来た人形、もう一体は自分で買ったものです。
どちらかどちらか実は記憶が曖昧なのですが、以前裏を見た時に「おばあちゃんの家から来たほうには銘がある」と思った記憶があるので、そのように理解しています。

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笛を吹いているのが、祖母の家から来たと記憶する人形です。
笛を吹く貴婦人、と思っています。

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この人形だけが銘入りで、裏にⒶの文字が見えます。

馬車の人形も女性の人形も、祖母がどこで求めたのかは全くわかりません。
人形に興味がある人ではなかっただけに、不思議に思います。


二体の女性のうちの一体は、私が買いました。おそらくこの、無銘のダンスをする子だと思います。
笛を吹く人形に比べて、のびのびして明るい感じがします。

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買ったのは10代の時、学校のバザーでした。
保護者(同窓生?)のコーナーで、小物や刺繍などの間にぽつんとありました。
バザーなので100円か、そのぐらいの値段だと思います。
こういった人形を買う人、ましてや生徒で買う人は少なかったようで、「本当に買うの?」という反応をされました。
アンティークドールは高くてあきらめていましたが、この子はお小遣いの範囲で買えて素敵だなと思っていました。
自分で人形を買うことに憧れていた頃です。

瀬戸ノベルティの「瀬戸」は、焼き物の産地で有名な愛知県の瀬戸市です。「瀬戸物」と言いますね。
食器が有名ですが、明治以降は主に輸出用に陶磁器人形などを作っていたようです。
1985年のプラザ合意で輸出不振になり、廃業が増えてしまったとか。
瀬戸ノベルティの歴史は、「セトノベルティ匠ネットワーク」や「瀬戸ノベルティ文化保存研究会・瀬戸ノベルティ倶楽部」などに詳しく書かれています。
なかなかおもしろいですよ。

昭和、もしかすると昭和中期に作られたのかもしれない人形たち。
いつか瀬戸に行ってみたいと思っています。


posted by sascha at 15:41| Comment(2) | 瀬戸ノベルティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月31日

南蛮鈴

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大分県の郷土玩具、南蛮鈴です。
「豊泉堂」さんがひとつひとつ作られています。

郷土玩具や民芸品のお店で、見つけました。小さい、ひっそりとした古いお店です。
犬や馬の人形が目立つ中に、三体の人形が並んでいました。
ふわっとしたドレス姿で、横浜開港人形や長崎ドールにも似た雰囲気です。
気になって手にとりました。

こちら、後ろから見たところです。

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ひっくり返してびっくり。実は土鈴だったのですね。
なるほど、南蛮「鈴」と呼ばれているはずです。
鳴らせてみると、土の鈴らしい深くてやわらかい音がします。

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詰め物に使われていた新聞紙です。
「大分合同新聞創刊105周年記念」のイベントの記事があります。
調べてみると、大分合同新聞は1886年(明治19年)創刊とのこと。すると創刊105年は1991年です。31年前の新聞ですね。

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表情も、優しくて素朴で素敵。
うーん、写真だと、このほっそりした目や口もとがうまく見えないかもしれません。可愛いのですよ。

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豊泉堂の宮脇さんのオリジナルという南蛮鈴。
今も作られているのでしょうか。
いつまでも伝わってほしい人形です。

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posted by sascha at 23:03| Comment(2) | 郷土玩具・土人形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月30日

赤毛の子守(尾崎人形)

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佐賀県の郷土玩具、「尾崎人形」です。
この子は「赤毛の子守」と呼ばれています。
九州の郷土玩具のお店、「山響屋」さんがイベントで来られた時に購入しました。

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実はこの子は土笛なのです。
後ろから見たところ。
下に穴があいています。

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赤い帽子をかぶっているのかと思いましたが、名前から考えて髪のようです。
ん、つまり外国の人ということでしょうか?

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足もとには吹き口。
吹いてみると深くてやわらかい音がします。土笛・鳩笛の音です。
「人形」という文字も見えます。

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「子守」さんということで、小さい人形を抱いています。
笑顔でとても嬉しそう。
それにしても、何故パラソルを持っているのでしょうか??
不思議だらけの人形です。


入っていた栞を見ると、尾崎人形は1281年(弘安4年)、蒙古襲来の際、捕虜になった蒙古兵が土笛をつくって故郷をしのんで吹いたというもの。
調べてみると、確かに鳩笛が代表とのこと。
一時は途絶えたものの、現在は保存会によって作られているそうです。

それにしても、何とも言えない顔立ちです。
いろいろ調べてみると、古いタイプはもっといろいろな表情をしています。
復刻された時に、この顔になったのか?
いずれにしても印象的。ずいぶん人気になったようです。

もともとは九州旅行で買いたいと思っていたのですが、コロナ禍の中、なかなか出かけることもできず、今回はイベントで購入しました。
九州らしい、明るくてのびのびした色をしています。
やわらかい笛の音。春、そして初夏に合う音です。
きれいだけれど、故郷を思って吹かれていたと伝えられているのですね。
特に今は、感染症とか戦乱とか、悲しい報道が多い中で寂しさも感じます。

「赤毛の子守」というモチーフの由来はまだよくわかりません。
機会があったら、聞いてみたいなと思っています。
できれば佐賀県に行って、そこで聞けたらいいなあ。

箱も栞も可愛いです。

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posted by sascha at 14:35| Comment(2) | 郷土玩具・土人形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月12日

3人になりました

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3月は雛祭り。
1年前に紹介した「人形を抱いた女の子」に仲間が増え、気がつくと3人になりました。
3人といってもそれぞれが人形を持っているので、実際にはもっと大勢に見えます。
赤い着物に赤やピンクのリボンが、とてもにぎやか。
同じようなデザインなのに、大きさも重さも表情も違います。
素朴な磁器の人形たちです。


新しく増えたのはこの子たちです。

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前からいた子に比べ、ひとまわり以上小さい。
磁器の子たちですが、材質も重さも作りも全然違います。
右の子は、常滑焼の永和商店の子ではないかと思います。「王様印永和商店」というシールを時々見ますが、この子はシールがありません。
左の子は全くわかりません。


後ろから見てみました。帯の色が違います。

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横から見てみます。こうして見ると、左の子は少し小さいのですね。

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反対側から見ます。姿勢が違います。そっくりなようで、微妙に型が違うのかもしれません。

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右の子はとても軽いのですが、左の子は重みがあります。
下から見ると納得。空気穴の大きさが全然違います。
おそらく造りが違って、右の子のほうが空洞部分が広いのでしょうね。

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右の子はレトロ風に目がぱっちりしていますが、左の子はもっと素朴な表情です。
持っている人形も、それぞれの持ち主さんの顔に似ています。

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それにしても、同じような時代に同じような人形たちがたくさん作られたという、その不思議さ。
作りも顔も違うので、作ったのはきっと違う人。会社(工房?)はもちろん、もしかすると地域さえも違うかもしれません。
「射的人形」と呼ばれる子たちなのでしょうか。射的の的として人気があって、焼き物が盛んな地域でたくさん作られ、時代の中でひっそり消えていったのだと思います。

色は剥げ、ところどころ汚れています。
左の子は作りの甘さか、気泡のようなぶつぶつがあります。
でも、ある時代に子どもたちに愛されてきたこの子たち。やはり可愛いなと思います。

posted by sascha at 21:14| Comment(2) | 磁器人形(玩具) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年02月26日

人形を抱いた古い磁器の子どもたち

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庶民的な古い玩具に興味を持ちはじめた頃に、我が家にやって来てくれたのがこの子どもたち。
とても古い磁器の色絵の女の子です。
磁器人形というとマイセンやこの子のような飾り人形・フィギュリンの印象が強いのですが、今回の2人は明らかに子どもの玩具。
ずいぶん古く、色も褪せて汚れています。

サイズは大きい子が10cm、小さい子が9cm。
どちらも手に人形を持っています。

横から見てみました。微妙に姿勢が違うのですね。

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後ろから見ます。
小さい子の後ろ姿の、赤い帯(リボン?)が可愛いです。

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底には焼く時のための空気穴が開いています。

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古い庶民的な人形としては、よく「射的人形」が紹介されます。射的場の的になった人形です。
ずらっと並べるためか射的人形は細身の立ち姿が多いのですが、それに比べてこの子たちはまるまるとして表情もとてもおおらか。明るい雰囲気の子どもたちです。
調べていると、明治から昭和初期にかけて作られていたのではないかとか、瀬戸で作られたらしいとか、いろいろなことがわかってきます。書道の水滴に似ている気もします。
けれども資料が少なすぎて、詳しいことは不明のままのよう。
呼び方もまちまちで、色絵磁器人形とか磁器玩具人形とか、錦人形、カンカン人形というのもあります。とても古いことだけは確かです。
手にとるとぼってりと厚みがあって、間違ってちょっと倒しても壊れなさそう。
磁器でつるつるしています。

もうひとつ気になったのは、この子たちの着ている服です。
大きい子は長い帽子で頭全体をすっぽりかぶって、スカートにエプロン姿。靴をはいているようです。
小さい子は赤い着物にエプロン姿に見えますが、髪型(髪飾り?)は何故かお団子ヘア。とにかく異国風なのです。

どちらも人形を抱いています。
大きい子の人形は赤いドレス姿、小さい子のはぺったりはりついて可愛いです。

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拭いてやりたいのですが、そうすれば絵具が剥げてしまいます。
時々埃をはらったり、乾拭きしたりしています。
もともとの色がわからないのは残念ですが、この子たちはきっと子どもの友達として遊ばれたのだろうなと思うことにしています。

どんどん壊れたり散逸してりしていくタイプの磁器人形たち。
難しいでしょうが、次の時代にも伝わってほしいなと思います。


posted by sascha at 16:48| Comment(2) | 磁器人形(玩具) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月30日

「日本人形製作組合」シールの市松人形

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1月なので、華やかな市松人形の女の子。正装です。

ぱっと見て目を引く、個性的な表情の美人さん。
人気のある「あどけない子」ではないかもしれませんが、一目見て好きになりました。
気が強いかと思いましたが、家に置くととても優しく生き生きした表情をしています。
人形スタンドも付けていただきました。

銘はありません。
ただ、いろいろ調べてみて「柳水」銘の子たちがよく似ていると思いました。
眉の書き方やまっすぐな視線、今にも笑い出しそうな口もとがそっくりです。

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うーん、髪の乱れが直しきれませんでした…。

着付けに自信がなくてうまく確認できていませんが、「日本人形製作組合」のシールがあると聞きました。
それに、「人形液」のシールもあるそうです。
「人形液」は昭和10年代に開発された樹脂スプレーです。

小林すみ江さんが『人形あそび』(マリア書房・2002年)というムック本の中で
「人形使節がもたらした“人形たちの時代”」という記事で触れられていますが、
1927年にアメリカから送られた親善人形「青い目の人形」として贈られた人形たち。
それに対して日本から送られた「答礼人形」たちがアメリカでキスを受けて胡粉が剥がれて…
というトラブルから、胡粉保護のために「人形液」が生まれたそうです。
そんなに長い時代を生きてきたのですね。
「日本人形製作組合」のほうは、調べてもよくわかりませんでした。

しかも、付けていただいた人形スタンドを見てみると、
裏には「日本玩具人形類統制協会」のシールが貼ってあります。

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「日本玩具統制協会」は、こちらにありました。1940年にできたそうです。
戦争が始まり、価格統制が行われ、金属やブリキを玩具に使うことが禁止された時代です。
そういえば、中島京子さんの『ちいさいおうち』も、戦前・戦中の玩具製造会社のお宅が舞台になっていました。

いろいろな時代を乗り切ってきた子。
正装ですが、ぼろぼろの着物の「星くん」に比べて着物の質はさほど良くなく、触るとごわごわします。
少し切なくなります。

お座りはできません。
その分姿勢はよくて、まっすぐに立っています。
人毛の髪もたっぷりとしています。
後ろからも撮ってみました。

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またまた髪の乱れが…。
美人さんなのに、申し訳ない。

人形の名前を付けるのは苦手なのですが、この子はすぐに「りりこ」に決まりました。
明るくて華やかな名前。
戦争の時代を乗り切ったと思われるこの子だから、逆に洋風な名前にしたかったのかもしれません。

私より長く生きるであろう「りりこ」が、いい時代を経て可愛がられていきますように。
posted by sascha at 15:43| Comment(2) | 市松人形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月25日

ちいさなセルロイド人形たち

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今年催事で出会った「セルやさん」こと、平井玩具製作所さんのセルロイド人形たちです。
ネットと通信販売でしか知らなかった平井さんの人形たち。
実際に出店されているのを見たのは初めてでした。

ずらりと並んだゆめちゃんやミーコ、それから可愛い衣装も気になりましたが、更に気になったのは、初めて見るセルッピー(小さいキューピー)、金魚、うさぎのぴょんちゃん、鯉に猫などの小さい子たちでした。
まず、金魚とセルッピー1体を購入。
セルッピーは昔の金型で作られていて、背中にはOccupied Japanの文字があります。Occupied Japanとは第二次世界大戦後のアメリカ占領下の日本のこと。1947年から52年までの5年間、輸出品につけられていたようです。

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どうしても気になって、最終日にはセルッピーをもう一体、それからうさぎのぴょんちゃんを購入しました。
ぴょんちゃんはエスエス製薬のマスコットです。この子は初期のぴょんちゃんとのこと。
たくさん作られて、薬局のおまけで配られたのでしょうか

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我が家のミーコゆめちゃんもふわっと軽くて驚きましたが、小さいこの子たちは本当に軽くて儚い。
大切に持って帰りました。
ミーコ、ゆめちゃんと一緒に写真を撮りました。

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今回はセルやさんは来られず、他の方が来られていました。
ミーコたちの服も作られているナッシーさんだったそうです。
バタバタしていてよくわかっていなかったのですが、わかっていればナッシーさんの服も購入したかった!

新型コロナウイルスで落ち着かない日々。
以前と違って催事はことごとく中止。特に「江戸展」などはずっと中止続きでした。
ようやく開催されるようになってもギリギリまで広告されず、始まってからも屋外の懸垂幕は出たり出なかったり。
今回の催事も、以前はHPのトップに出ていた催事案内がひっそり奥に隠されていました(他の百貨店も似たりよったり)。

そんな中で、東京からはるばる来てくれたセルロイドの小さい子たち。
いろいろな人に見てもらえる機会は少なかったかもしれないけれど、暗くて何もなかった百貨店がパッと明るくなったようで、とても素敵な気持ちになりました。
人形や玩具は「不要不急」のものかもしれないけれど、ココロを豊かにしてくれるな…と、改めて思いました。

セルロイドの子たち、それからナッシーさん、ありがとうございました。
いつか、ずらっと並んだミーコやゆめちゃんから、お気に入りの顔の子を選んでみたいと思っています。

最後、セルッピーと市松人形です。

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posted by sascha at 15:22| Comment(4) | セルロイド人形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする